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【会員情報】 杉本昭生 小型本の世界Ⅵ

朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部会員、京都在住の杉本昭生さん製作の小型本 ( いわゆる豆本 ) 紹介の 第六弾です。  今回のご紹介は以下の二冊です。

1 )  森  鷗 外  『 電車の窓 』
2 )  夏目 漱石   『 夢十夜より-第三夜- 』

ともすると小型本の製作者は、なによりも小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、そのテキストが、読書のための 判別性 Legibility と、可読性 Readability を失っていることがみられます。
ところが杉本さんは、もともと読書家ですので、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらおうというつよい意志を感じます。
これからゆっくりご覧ください。 なおこのページはスライドショウでもお楽しみいただけます。
DSCN8507 DSCN8513 DSCN85171 )  森  鷗 外  『 電車の窓 』
『 電車の窓 』 は森鷗外の小品です。
偶然おなじ市電に乗り合わせた女の寂しげなようすがきにかかり
あれこれ想像して書いた、いわば作者の妄想小説です。
小説の感想をいうならば
いつの時代も美しい女性は男の眼をひくものであること、
おおかたの男性は電車内で前の席に座った女性の行動を観察し、
その日常をいろいろ想像していること . . . . . . などなど。
なんの予定もない雨の日曜日にでもご一読ください。
DSCN8501 DSCN85042 )  夏目 漱石   『 夢十夜より-第三夜- 』
「 こんな夢を見た 」 という書き出しで知られる 『 夢十夜 』 は
明治41年07月25日から08月05日まで 『 朝日新聞 』 に連載されました。
漱石としては珍しい幻想的な作品です。
第三夜は、淋しい道を子供を背負って歩いている 「 自分 」 と
背中の子どもとの会話が中心で、圓朝の怪談話を聞いているような気になります。

 <既出紹介>
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅰ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅱ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅲ 】
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅳ
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅴ
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅵ 】

杉本昭生小型本の世界Ⅴ

朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部会員、京都在住の杉本昭生さん製作の小型本 ( いわゆる豆本 ) 紹介の 第五弾です。 今回のご紹介は以下の三冊です。

1)  西田幾多郎  『 我が子の死 』
2)  モーパッサン  『 老嬢物語 』
3)  芥川龍之介  『 尾生の信 』

ともすると小型本の製作者は、なによりも小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、そのテキストが、読書のための 判別性 Legibility と、可読性 Readability を失っていることがみられます。
ところが杉本さんは、もともと読書家ですので、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらおうというつよい意志を感じます。
これからゆっくりご覧ください。 なおこのページはスライドショウでもお楽しみいただけます。
DSCN9612 DSCN9616 DSCN96181)  西田幾多郎  『 我が子の死 』
西田幾多郎はご存知のように日本を代表する哲学者です。
『 我が子の死 』 は、六歳の愛する娘を亡くした思いを綴った随筆です。(中略)

作品の内容に寄り添う気持ちで作りましたが、相変わらず力不足です。
今回の製作でいちばん感じたのは 『 紙を甘やかしてはいけない 』 ということ。
少しでもツメが甘いと、たちまち仕上がりに影響することを痛感しました。[杉本昭生] DSCN9621 DSCN9623 DSCN9625 DSCN96262)  モーパッサン  『 老嬢物語 』
ギ ・ ド ・ モーパッサンの作品は人気があるのか、いまも文庫本がたくさん出ている。
ジャンルは、恐怖 ・ 幻想小説が多い。
今回の 『 老嬢物語 』 はそんな恐怖や幻想などとは縁のない話で
作者の幼いころの出来事を思い出すままに語った物である。(中略)

出来上がりは失敗と成功が半ばしてどうともいえない。
たぶんこんな本を作りたかったのだろう。 キャラメルの函のような。
中身をよりわかりやすく伝えたいため、今回はじめて帯をつけた。
仕上がりの不備をごまかすためではないことにしておく。[杉本昭生] DSCN9629 DSCN9637 DSCN9632 DSCN96343)  芥川龍之介  『 尾生の信 』
芥川龍之介作 『 尾西の信 』 です。

尾西ビセイ は中国春秋時代 魯のひとの名ですが、
「尾西之信」で古来四字熟語にもなっています。
約束を固く守ることのたとえであり、また融通がきかなくて愚直であることのたとえ。
ここでは女性との約束を守って、命を失った男の話を題材にした短編です。

江守 徹の朗読で聞いたらいいだろうなと思いました。

今回は、ひとり芝居のような設定、
カメラを固定して回し続けているような映像的描写と、

「やさしく海の方へ運んでいった」、
「唯なにか不可思議なものを待ちつづけている」
という文章に惹かれて作りました。(
中略)

表装の布が安かったので、丸帙にしてみましたが、紐を結ぶのがちょっと厄介です。
ご一読いただければ幸いです。[杉本 昭生]

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