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【公演】歌舞伎座|壽 初春大歌舞伎|平成31年1月2日-26日|歌舞伎と勘亭流の書芸

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歌舞伎美人 ニュース
 2019年01月03日

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

2019年1月2日[水]、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」の初日が幕を開けました。
平成最後の正月、縁起物の三番叟で幕を開けた歌舞伎座。中村魁春の千歳、中村芝翫の三番叟が舞台に現れ、『舌出三番叟-しただし さんばそう』がはじまりました。

三番叟の大地を力強く踏みしめる音が響き渡り、千歳はゆったりと祝祭の舞を見せます。五穀豊穣を祈る厳かで儀礼的な踊りのなかにも、婚礼の支度の様子を面白く当て振りで踊ったり、松竹梅を描いた衣裳を見せたりして楽しませます。
「千穐万歳、万々歳の末までも、賑わう御代とぞ舞い納む」
と二人がきっちりきめると、歌舞伎座にすがすがしい空気が満ち満ちました。[後略]
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{ 新 宿 餘 談 }

いまなお脈々と生きつづける「勘亭流」の書芸

20190111152709_00001歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」公演パンフレット 表紙
20190111152709_00002歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」公演パンフレット 巻頭番組表
20190111152709_00003歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」公演パンフレット 巻末刊記

2018年は松本白鸚、松本幸四郎、市川染五郎の高麗屋三代同時襲名披露で賑わった歌舞伎界であった。
また1月14日には、2020年5月、6月、7月、歌舞伎座で、市川海老蔵が十三代目市川團十郎白猿を襲名することが発表された。同時に、海老蔵長男の堀越勸玄-ほりこし かんげん -が八代目市川新之助として初舞台を行うという。[歌舞伎美人ニュース 2019年1月14日

慶事がつづく歌舞伎界であるが、家人が1月2日、木挽町歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」を観劇した。実にけしからんというか、羨ましい限りである。やつがれは風邪が抜けきらず寝正月をきめこんでいたが、家人の報告によると、友人の松本金吾も昼の部「一條大蔵譚-いちじょう おおくら ものがたり」に 八剣勘解由役 で元気に舞台を務めていたそうである。

manekigaki_c20181011-300x225歌舞伎を象徴するのはやはり勘亭流の書である。歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」では何枚もの懸垂幕に力強く書かれた勘亭流の書をみることができた。岡崎屋勘六による「勘亭流」の創始から240年、この書風をみただけで歌舞伎であることがわかるからすごい。
それも WebSite やフライヤーでは味わえない魅力が、本物の劇場と舞台には横溢している。

さきに京都南座「當る亥歳 吉例顔見世興行」のまねき看板と口上の勘亭流の揮毫現場を紹介した。京都の書芸家は井上 優氏であった。
家人が「壽 初春大歌舞伎」の観劇パンフレットを購入してきてくれた。巻頭の番組表はすべて勘亭流の書を版下としている。東京での書芸家は山中福壽氏であった。
こうした書芸家を傘下においている座主の松竹もすごいものがある。復習のためにあらためて勘亭流を紹介した。

【勘亭流-かんていりゅう】
歌舞伎の看板、絵本番付(プログラム)などに用いる独特の書体。筆太で、隙間なく、内へ丸く曲げるように書く。寄席、相撲などで使う書体とは違う。内へ丸く曲げるのは、観客が入るという縁起をかついだものである。
安永八(1779)年、江戸堺町の書藝指南:岡崎屋勘六(1746-1805)が中村座のために創始したのがはじまり。勘六は号を勘亭といい、そこから勘亭流という書芸の流派がうまれた。

【詳細: 歌舞伎座 歌舞伎美人 】
[関連: NOTES ON TYPOGRAPHY

【公演】歌舞伎座|壽 初春大歌舞伎|平成31年1月2日-26日

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歌舞伎座

壽 初春大歌舞伎

平成31年1月2日[水]-26日[土]

< 昼 の 部 >

一、舌出三番叟-しただしさんばそう
    幕開きにふさわしい祝祭的な舞踊
松羽目の舞台に三番叟と千歳が登場すると、天下泰平、五穀豊穣を願う祝祭的な踊りを舞います。
能の『翁』をもとにした三番叟物の一つで、三番叟が「舌を出す」滑稽味ある振りが特徴です。軽妙な動きとユーモラスな雰囲気で、幕開きにふさわしい祝祭性に富んだ舞踊をお楽しみください。

二、吉例寿曽我ーきちれいことぶきそが
    初春を寿ぐ曽我狂言
相模国大磯に近い雪景色の鴫立澤。曽我箱王と兄の一万は、親の敵である工藤祐経を討つという大望成就のためにやって来ます。しかし、そこへ現れたのは祐経の奥方の梛の葉で…。
「雪の対面」の通称で知られ、祐経の奥方梛の葉が登場する珍しい趣向のひと幕。初春に「曽我狂言」を上演する江戸歌舞伎の吉例にならい新年を寿ぎます。

三、夕霧 伊左衛門 廓文章-くるわぶんしょう
    男女の恋心が織りなす上方和事の代表作
 大坂新町の吉田屋へやって来たのは、編笠をかぶり紙衣姿に零落した藤屋の若旦那伊左衛門。放蕩の揚げ句に勘当されながらも、恋する遊女夕霧に会いたい一心の伊左衛門を、吉田屋の亭主喜左衛門と女房おきさ夫婦は正月飾りも整った座敷に迎え入れます。一人待ちわびる伊左衛門のもとへ、ようやく夕霧が姿を現しますが、二人は痴話喧嘩を始める始末…。
廓の情緒あふれる上方和事の名作を、今回は竹本と清元の演奏でご堪能ください。

四、一條大蔵譚-いちじょうおおくらものがたり
    阿呆の姿に隠した本心とは
平家全盛の時代、その阿呆ぶりが広く知られている一條大蔵卿は、夫源義朝を亡くした常盤御前を妻に迎えました。義朝の忠臣の吉岡鬼次郎と妻のお京は、常盤御前に源氏再興の意思があるのか本心を探ろうと大蔵卿の館へ潜り込みます。楊弓遊びに興じている常盤に、鬼次郎は意見をしますが、実はその振る舞いには訳があったのです。そこへ先ほどまでの阿呆の姿とはまったく異なる威厳にあふれた大蔵卿が現れ…。
一條大蔵卿のつくり阿呆と本性の演じ分けがみどころの舞台です。

< 夜 の 部 >

一、絵本太功記-えほんたいこうき
    光秀一家の悲劇を描く時代物の名作
武智光秀は主君小田春永を本能寺で討ち果たしますが、母皐月は息子の謀反に怒り、尼ヶ崎の庵室に籠ってしまいます。そこへ光秀の妻操が息子十次郎とその許嫁初菊を伴ってやって来ます。討死を覚悟し出陣の許しを乞う十次郎を、皐月は別れを悲しみながらも初菊と祝言を挙げさせ送り出します。さて、昨晩からこの庵室に身を寄せていた一人の僧侶。この僧こそ、春永の腹心真柴久吉でした。夜も更けたころ、久吉を追ってきた光秀は、障子越しに竹槍を繰り出しますが、そこにいたのはなんと…。
明智光秀の謀反を題材にした義太夫狂言で、重厚感あふれる舞台をご堪能ください。

二、勢獅子-きおいじし
    華やかに魅せる江戸の大祭の風情
江戸三大祭の一つ、日枝神社の山王祭で賑わう江戸の街。町内の御神酒所には鳶頭や芸者たちが勢ぞろいし、ほろ酔い気分。鳶頭たちは曽我兄弟の仇討の物語、江戸前の威勢のいい獅子舞を賑やかに披露し、皆を盛り上げます。
江戸っ子の風情をさまざまな踊りで魅せる、粋でいなせな常磐津の舞踊をご覧いただきます。

三、松竹梅湯島掛額-しょうちくばいゆしまのかけがく
    趣向あふれる人気狂言
本郷駒込の吉祥院へ、「紅長」の愛称で親しまれているひょうきん者の紅屋長兵衛、八百屋の娘お七たちが逃れてきます。小姓吉三郎に心を寄せるお七が、その恋がかなわないことを知り悲しみに暮れているので、紅長はお七の機嫌をとり慰めます。
しばらくあとの冬の夜。お七は吉三郎のもとへと急ぎますが、すでに町の木戸は閉じられています。木戸を開くためには、火の見櫓の太鼓を叩かなければなりませんが、厳罰に処されてしまいます。それでも吉三郎に会いたい一心のお七は…。
お七と吉三郎の恋物語に加え、紅長がお七の恋に手を貸そうと面白おかしく活躍する歌舞伎には珍しい笑劇と、櫓のお七の人形振りがみどころの趣向あふれる舞台をお楽しみください。

【 詳細: 歌舞伎座

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【公演】歌舞伎座百三十年|芸術祭十月大歌舞伎|十八世 中村勘三郎七回忌追善|10月1日-25日

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10月1日(月)、歌舞伎座百三十年「芸術祭十月大歌舞伎」が初日の幕を開けました。
台風一過の初日1日。活気あふれる場内の熱そのままに、10月とは思えない暑さとなった十八世中村勘三郎七回忌追善の公演初日は、中村七之助が歌舞伎座で初めて大川端のお嬢吉三を見せた『三人吉三巴白浪』で幕を開けました。

歌舞伎座場内には、十八世勘三郎七回忌追善の祭壇もしつらえられ、あらためて故人を偲び、手を合わせるお客様の姿も見られました。

{新塾餘談}

やつがれの知人:高麗屋・松本錦吾は、高麗屋三代襲名披露公演に帯同して地方公演が続いていましたが、久しぶりに歌舞伎座にもどって、「佐倉義民伝」の井上河内守役で出演しています。
11月はまた京都南座で、三代披露公演に帯同となるそうです。

【 情報: 歌舞伎美人ーかぶきびと

nakamurayatsuizen_a0726_1歌舞伎座公式総合サイト<歌舞伎美人-かぶきびと>ニュース 2018年7月27日

中村勘九郎、中村七之助が語る歌舞伎座、平成中村座の
十八世中村勘三郎七回忌追善公演

中央:十八世中村勘三郎(1955-2012)遺影
右:長男  六代目中村勘九郎/左:次男  二代目中村七之助
Kabuki-za Theatre, Tokyo kabukiza_07262018nakamuraza_07262018上)十八世中村勘三郎襲名披露興行中の歌舞伎座正面(2005年)
〔ウィキペディア 中村勘三郎 (18代目)ゟ〕

中)全面改築がなって2013年4月にこけら落としを迎えた新生歌舞伎座。その完成を心待ちにしていた十八世勘三郎丈はその前年12月に惜しまれながら他界した。行年五十七であった。

下)平成中村座の風景。「二八ニッパチの枯れ月」として休演が定例だった歌舞伎座で「八月納涼歌舞伎」を演じ、また渡辺えり、野田秀樹、串田和美といった現代劇の劇作家、演出家らと組んで、コクーン歌舞伎、野田版歌舞伎、平成中村座を立ち上げ、古典歌舞伎の新解釈版や新作歌舞伎の上演に取り組み、また地方巡業や海外公演も精力的に行うなど、その演劇活動は常に意欲的であった。
800px-Stele_of_Heisei_Nakamura-za「平成中村座」は十八世中村勘三郎(初演時は五代目中村勘九郎)と、演出家の串田和美らが中心となって、浅草・隅田公園内に江戸時代の芝居小屋を模した仮設劇場を設営、「平成中村座」と名付け、2000年(平成12年)11月に歌舞伎『隅田川続俤 法界坊』を上演したのがはじまりである。
その後会場をさまざまに変えながら上演がつづいたが、勘三郎丈の他界を機に2013年は休演となったが、長男:六代目中村勘九郎が座主となって2014年から再開され、近年は浅草の浅草寺本堂裏に、仮設芝居小屋をもうけて、十八世中村勘三郎の遺志をつぐ子弟らによって上演が継続。
「平成中村座発祥の地」碑は初演の場所となった浅草・隅田公園・山谷広場内に建立されている。碑面上部の紋は中村屋の定紋「角切銀杏-すみきりいちょう」である。

〔ウィキペディア 平成中村座ゟ

【 YouTube 今語られる十八世中村勘三郎 音が出ます 案内役:松本 潤 1時間38分 】

{演目と配役}

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【公演】六代目片岡愛之助ほか 第十一回 出石ーいずし 永楽館歌舞伎 10月18日-24日

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第十一回 出石ーいずし 永楽館歌舞伎
平成30年10月18日[木]-24日[水
    昼の部 午前11時30分ゟ
    夜の部 午後4時ゟ
    * 24日[水]は昼の部のみ 【貸切】19日[金]昼の部
会  場  出石ーいずし 永楽館
料  金  全席指定 12,000円[税込]
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<演目と配役──見どころ>
昼の部・夜の部

一、御所桜堀川夜討-ごしょざくらほりかわようち
弁慶上使-べんけいじょうし

                        武蔵坊弁慶  片岡 愛之助
                          おわさ  中村 壱太郎
                    卿の君/腰元しのぶ  上村 吉太朗
                          花の井  上村  吉弥
                         侍従太郎  大谷  桂三
☆ みどころ
豪傑、武蔵坊弁慶が生涯一度だけ恋をし、
大泣きしたという伝説を描いた時代物の傑作
懐妊のため静養中の源義経の正室、卿の君のもとを、源頼朝の上司として武蔵坊弁慶が訪れます。弁慶は源頼朝より反逆人の平時忠の娘である卿の君の首を討つようにと命を受けていたのです。侍従太郎は、妻の花の井とともに、卿の君に瓜二つの腰元しのぶを身替りに立てようとしますが、しのぶの母おわさは、18年前に一度だけ契った、しのぶの父にあたる男に娘を会わせるまでは死なせるわけにはいかないと、頑なに拒みます。
実は弁慶こそがしのぶの父親。弁慶は自分が親だと名のり出たい気持ちを抑え、卿の君の身替りとしてしのぶの首を刎ねるのでした。歌舞伎の様式美あふれるなか、夫婦、親子の情愛、そして忠義を尽くす武士の姿を描いた名作をご堪能ください。

二、お目見得 口上-こうじょう
                              幹部俳優出演
☆ みどころ

出演する幹部俳優がご挨拶を申し上げます。歌舞伎を身近に感じていただきたいという出演者の意気込みが伝わる口上は、小さな芝居小屋「出石永楽館」ならではの恒例の一幕です。

人気投票によりアンコール上演決定!
水口一夫 作・演出
三、神の鳥-こうのとり

              狂言師右近実はこうのとり(男)  片岡 愛之助
                      山中鹿之介幸盛  片岡 愛之助
              狂言師左近実はこうのとり(女)  中村 壱太郎
                     こうのとり(子)  片岡 愛三朗
                         傾城柏木  上村  吉弥
                         赤松満祐  大谷  桂三
☆ みどころ

幸せを運ぶという霊鳥コウノトリを題材にした新作舞踊劇
時は室町時代。播磨を拠点に勢力を拡大していた守護大名の赤松満祐は、将軍足利義教を討ち果たし、今や飛ぶ鳥落とす権勢を誇っていました。
出石神社の社頭では、満祐の天下掌握を祈願する宴が開かれようとしています。ひと際目を引くのは大きな鳥籠。中には神の使いとされる“こうのとり”が捕らえられています。その肉を食べると長寿を得るという伝説に従い、家臣が満祐に献上した生贄だったのでした。
まだ幼い子どもの“こうのとり”を殺して料理しようと、家臣たちが鳥籠をとり囲むと、突然辺りが真っ暗となり、狂言師の二人連れが現れます。二人は満祐の前で奉納の舞を披露しますが、やがて鳥籠に近づいたかと思うと ……。
但馬の霊長 “ こうのとり” を題材に新たに書き下ろされた、ご当地但馬地方が舞台の舞踊劇です。これまで永楽館で上演した18演目のなかからお客様に「もう一度見たい」演目を公募で選んでいただき、待望の再演が決まりました。錦絵を見るような歌舞伎らしい華やかな舞台にどうかご期待ください。

※昼の部/夜の部 同一演目にて上演します。
【詳細:歌舞伎座 出石 永楽館

{六代目片岡 愛之助と、出石-いずし 永楽館 兵庫県豊岡市出石町柳17ー2}

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東京木挽町 歌舞伎座の変遷と地方芝居小屋の盛衰

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【公演】歌舞伎座百三十年  八月納涼歌舞伎 8月9日初日-27日千穐楽

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歌舞伎座百三十年
八月納涼歌舞伎
平成30年8月9日[木]初日-27日[月]千穐楽
   第一部 午前11時 ゟ
   第二部 午後03時 ゟ
   第三部 午後06時 ゟ
チケット好評販売中

【詳細: 歌舞伎座

[参考:歌舞伎美人-かぶきびと- 特設:歌舞伎へ行こう! そのそも歌舞伎って何?

歌舞伎へ行こう!
歌舞伎って面白そう…..、そうおもったときに見てください

c_1_columnImg01東京都中央区京橋にある「江戸歌舞伎発祥の地」の石碑

そもそも、歌舞伎って何?
歌舞伎の語源は「傾く-かぶく」。流行の最先端をいく奇抜なファッション、世間の常識はお構いなしの「かぶき者」をまねた扮装で見せたのが、歌舞伎のルーツといわれる「かぶき踊り」でした。既存の考えにとらわれずに流行を取り入れ、人々を楽しませる ── それは、歌舞伎がたえず受け継いできた精神なのです。

歌舞伎を成り立たせているのは、芝居、踊り、音楽。この三要素で楽しませることを追求し、ひとつの総合芸術にまで磨き上げてきました。面白いものを貪欲に取り込み、楽しませるための工夫や努力を重ねた結果が、歌舞伎を多彩なものにしました。
江戸と上方(京都・大坂)を中心に、各時代の観客の趣味嗜好を反映し、名優、名作家たちの活躍で新しいレパートリーを増やしながら今日の歌舞伎にいたります。いつもお上に頼らず、市井の人〻が育ててきたところに大きな特徴があります。
そのレパートリーは700以上で、基本は “ ロングラン ”。一つの作品に、俳優や裏方の数えきれない工夫が重ねられ、今現在の集大成が、目の前の舞台に広がっている ── それが歌舞伎なのです。

反骨精神が育てた歌舞伎
「かぶき踊り」が出雲の阿国によって京都ではじめられたとされるのが1603(慶長8)年。ですから、歌舞伎にはすでに400年以上の歴史があります。ちなみに江戸で歌舞伎がはじめられたのは、現在の京橋に中村座ができた1624(寛永元)年といわれています。

かぶき踊りの人気を受けて、遊女を含めた女性たちの「女歌舞伎-おんなかぶき」や、前髪の残る少年たちの「若衆歌舞伎-わかしゅかぶき」がはじまりますが、いずれも風紀を乱すという理由で幕府に禁止されました。
そこで次に登場したのが、成人男性中心の「野郎歌舞伎-やろうかぶき」。歌舞伎を男性だけが演じる過程で「女方-おんながた」も生まれ、今日の歌舞伎の基礎ができあがりました。

どんな苦境も乗り越え、成長の糧にしてしまう ──。興行主である座元-ざもと-や、歌舞伎俳優、彼らを支えるスタッフに流れる反骨精神もまた、歌舞伎がこれまで受け継がれる上で欠かせないものでした。

{八月納涼歌舞伎 演目・配役・みどころ}

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【公演】歌舞伎座百三十年|七月大歌舞伎|7月5日初日-7月29日千穐楽|

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七月大歌舞伎
平成30年7月5日[木]-29日[日]
昼の部 午前11時ゟ
夜の部 午後4時30分ゟ
【休演】11日[水]・17日[火]夜の部/18日[水]・19日[木]昼の部

【貸切】7日[土]昼の部 * 幕見席は営業
チケット好評販売中

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歌舞伎美人-かぶきびと-メルマガ 6月21日号ゟ

市川海老蔵が語る歌舞伎座「七月大歌舞伎」

kabukiza_a0617ebizo 歌舞伎座「七月大歌舞伎」 十一代目市川海老蔵の手には、堀越勸玄(長男-かんげん 右)からの父の日プレゼント。「大事なものを入れる」手づくりの器です

7月5日[木]に初日を迎える、歌舞伎座百三十年「七月大歌舞伎」について、出演の市川海老蔵が語りました。

信長一色だった海老蔵が秀吉に挑む
当時、海老蔵を名のっていた祖父十一世團十郎の秀吉。その傍らの一段高いところに立つ三法師公は、市川夏雄を名のって初舞台を踏んだ父十二世團十郎。
「私は祖父に会ったことはありませんが、子どもの頃にその『大徳寺』の写真を見て、父の初舞台に祖父がその狂言を選んだ理由も聞き、祖父はそういう思いで父をこの舞台に出したんだ、自分もいつかやってみたいと思っていました」。
その「大徳寺焼香の場」が入った太閤記ものとして、『三國無雙瓢箪久-さんごくむそうひさごのめでたや- 出世太閤記』が上演されます。

「親子でやるものだと思っていたので、倅を授かった今だったら、この場面ができるなと」、
祖父が2度手がけた秀吉を海老蔵が勤め、父の初舞台の三法師を息子の堀越勸玄が演じます。祖父に大佛次郎が書き下ろした『若き日の信長』では三代にわたり信長を勤め、さらに海老蔵はテレビドラマや歌舞伎以外の舞台でも信長を演じており、
「これまで信長一色で過ごしてきました。信長は大好きですが、秀吉には私にないものがある。本質的に私からかなり遠い」
という自覚があります。

kabukiza_b0617ebizoつながる團十郎家の『源氏物語』
「人たらしで頭脳明晰な秀吉に、挑戦したいなと。40歳になり、自分の可能性をもう少し広げていかないといけないのではないか、というのも正直ありました」。
写真の『大徳寺』で見た十一世團十郎の美しい秀吉も頭に置きつつ、
「私はもう少し写実的に、猿と呼ばれていた時代を過ごしてきた人物としての部分も追いたいなと思っています」。
幕開きには夢の場面で「西遊記」の孫悟空として宙乗りを見せ、勢力争いの物語をわかりやすく見せる工夫も検討していると明かしました。

「祖父がつくった『源氏物語』、父が継承した『源氏物語』、そして私が変化を与えて幅を広げた『源氏物語』。倅がそれを見て、自分の『源氏物語』をつくるのではないか。私はここではパイプラインだと思っています」。
絶世の美男子として九世海老蔵を世に送り出し、十世海老蔵が継承して十二世團十郎としても勤めた『源氏物語』の光の君。当代海老蔵が 5 歳で初お目見得を果たした作品で、同じ 5 歳の勸玄が、今回初めて、若き日の光の君を勤めます。

海老蔵が与えた変化、幅とは、光の君の孤独です。
「孤独を表すためには周りが華やかだったり、別の情景が浮かぶようにすること。そうすることで、その人の孤独感が増すだろう」
と、能、オペラ、華道を歌舞伎に融合させた舞台を重ねてきました。
「光の君のドラマに焦点を当てた、芸術性の高いものになることは約束できます」。
歌舞伎よりも歴史ある伝統芸能とともに、
「宙を舞うというドラマができたら、それ以上のロマンはないのでは」と、「歴史的に初めての試みとなる宙乗り」も見せます。

4 年前から上演を重ねている海老蔵の『源氏物語』が、歌舞伎座で上演されるのは初めて。プロセニアム(舞台と客席を区切る枠の部分)を超えて映像を使い、
「歌舞伎座がこうなるの! と皆様の度肝を抜くものをと、澤邊芳明さんにお願いしています」。
桟敷席のお客様が見づらくならない程度に、
「できれば天井くらいまで(映像が)はみ出る形にしたい。紫式部の書く時代にタイムトリップしたのかと思わせる世界観と、(映像により際立つ)光の君の孤独。この 2 つです」
と、映像の演出にも期待を持たせました。

「七月、歌舞伎座、頑張ります!」
昼夜ともに、成田屋三代にわたる縁の深い演目が並んだ「七月大歌舞伎」。勸玄にも、

「祖父、父、私がやっているお役をするという認識はあります。でも、今それより重要なことはせりふ、動き」
と、海老蔵は時間が許す限り、朝も夕も稽古をつける日々を送っています。

 取材の最後に現れ、
「堀越勸玄-かんげん-です。七月の歌舞伎は三法師と光の君を勤めさせてもらいます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
と、大きな声で元気いっぱいに挨拶し、出演が「楽しみ」と満面の笑みを見せた勸玄。厳しく稽古しているという海老蔵へ、この日は「父の日」ということもあり、プレゼントとともに感謝の気持ちを贈った勸玄に対し、
「せりふを練習していても、私が父に言われている感じがある」
と、不思議な気持ちを率直に明かした海老蔵。七月の歌舞伎座には世代をつないできた父子の思いがあふれます。

【詳細: 歌舞伎座

演 目 と 配 役/みどころ   続きを読む

【公演】歌舞伎座百三十年  六月大歌舞伎 6月2日[土]初日-26日[火]千穐楽にござい〼

6月大歌舞伎

歌舞伎座百三十年
六月大歌舞伎
平成30年6月2日[土]初日-26日[火]千穐楽
  昼の部 午前11時ゟ
  夜の部 午後4時30分ゟ
  *[貸切]6月14日[木]昼の部 * 幕見席は営業

☆ チケット好評発売中

【詳細: 歌舞伎座

{ 歌舞伎美人-かぶきびと }ゟ「演目・配役・みどころ」をまとめました

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【公演】六月博多座大歌舞伎 二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 襲名披露 6月2日─26日+花筏へ{新宿餘談}千穐楽にござい〼

六月博多座 博多座_02博多座
六月博多座大歌舞伎
  松本幸四郎改め 二代目 松本白 鸚
                   襲名披露
  市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎

6月2日[土]初日-26日[火]千穐楽
☆ 4月14日午前10時から電話予約・インターネット発売開始

【詳細: 歌舞伎座  博多座

{縁があって高麗屋:松本錦吾さんが知人です。続きを読む 新宿餘談 花筏 にて

【公演】歌舞伎座百三十年 團菊祭五月大歌舞伎 十二世市川團十郎五年祭 5月2日-26日 千穐楽にございまする 

歌舞伎座五月歌舞伎座 百三十年
十二世市川團十郎五年祭
團菊祭五月大歌舞伎

平成30年5月2日[水]初日-26日[土]千穐楽
  昼の部 午前11時ゟ
  夜の部 午後4時30分ゟ
 【貸切】24日[木]昼の部 * 幕見席は営業
4月12日[木]ゟ チケット発売

【詳細: 歌舞伎座

【公演】歌舞伎座百三十年 四月大歌舞伎 平成30年4月2日[月]初日─4月26日[木]千穐楽 終了企画

kabukiza_201804_f2_3042193de748b51ce1cc6542886c9903歌舞伎座
歌舞伎座百三十年
四月大歌舞伎
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平成30年4月2日[月]-26日[木]
昼の部 午前11時-  夜の部 午後4時45分-
チケット好評発売中
【詳細: 歌舞伎座 】  {続きを読む……  花筏

【公演】歌舞伎座百三十年 三月大歌舞伎 平成30年3月3日[土]初日─3月27日[火]千穐楽 公演終了

歌舞伎座三月公演歌舞伎座百三十年
三月大歌舞伎
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平成30年3月3日[土]初 日 - 3月27日[火]千穐楽
昼の部 午前11時- 夜の部 午後4時30分-
チケット好評販売中
歌舞伎座3月解説

 


【詳細情報: 歌舞伎座 】

【 ようこそ歌舞伎へ 歌舞伎座『於染久松色読販』坂東玉三郎 】

【公演】歌舞伎座百三十年 二月大歌舞伎 ─ 高麗屋三代襲名披露 + <歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 草間彌生の祝幕発表

歌舞伎座二月

歌舞伎座百三十年 二月大歌舞伎
松本幸四郎改め  二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め  十代目 松本幸四郎  襲名披露
松本金太郎改め  八代目 市川染五郎
平成30年2月1日[木]-25日[日]
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《昼の部》
一、春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)

  開幕を祝う曽我物の舞踊
初春を迎えた工藤祐経の館に乗り込んだ曽我十郎と五郎の兄弟。春駒売りに身を窶(やつ)し賑やかに踊ってみせます。そして、親の仇である工藤と対面しますが…… 。

襲名の幕開きを祝うにふさわしい華やかな舞踊が舞台を彩ります。

二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
  檜垣・奥殿
阿呆の姿に隠された真の思い
平家全盛の世、夫源義朝を亡くした常盤御前を妻に迎えた一條大蔵卿は、その阿呆ぶりが世間でも広く知られています。大蔵卿の館に潜り込んでいた源氏方の吉岡鬼次郎は、源氏再興の思いをなくした様子で楊弓に興じてばかりいる常盤を打ち据えます。しかし、常盤の振る舞いには訳があり、そこへ大蔵卿が勇ましい姿で現れると…… 。
義太夫狂言の大役を、新幸四郎が襲名披露狂言にて勤めます。

三、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
魅力あふれる荒事の代表作
早春の鶴ヶ岡八幡宮、威厳を誇る清原武衡に対して、加茂次郎義綱が不遜な振る舞いを非難すると、武衡は義綱の首を刎ねるよう命じます。そのとき、「しばらく」と大音声がかかると鎌倉権五郎が颯爽と登場し…。
権五郎が見せる元禄見得や、幕切れの豪快な六方は大きなみどころです。歌舞伎十八番らしい荒事をお楽しみいただきます。

四、井伊大老(いいたいろう)
未曾有の国難に立ち向かう男の心情
時は幕末。開国を決断し、暗殺の危機に晒される大老井伊直弼。雛祭りを控えたある日、直弼の側室お静の方のもとに旧知の仲である仙英禅師が訪れ、直弼に危機が迫っていることを伝えます。自らの死すべき運命を覚った直弼は…… 。
桜田門外の変までの井伊直弼とお静の方との情愛を、繊細な心情描写で描く名作をご堪能いただきます。

《夜の部》
一、熊谷陣屋(くまがいじんや)
戦乱の世に翻弄された武将の心情
源氏方の武将熊谷直実が自らの陣屋に戻ると、妻の相模が息子小次郎の初陣を心配して訪れます。直実が敦盛を討った様子を語って聞かせますが、そこに敦盛の母である藤の方が姿を現し、直実に斬りかかります。藤の方と相模が悲しみに暮れるところ、直実が源義経のもとへ敦盛の首を届けようとしますが、そこへ義経が現れ、首実検が行われることになり…。
新幸四郎が高麗屋ゆかりの大役、熊谷次郎直実を襲名披露として勤めます。

二、壽三代歌舞伎賑(ことほぐさんだいかぶきのにぎわい)
襲名披露を祝う華やかな一幕
江戸の芝居町である木挽町。このたびの襲名を披露する高麗屋三代、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎が登場します。木挽町に集う皆々が出迎え、お祝いを述べます。
歌舞伎史上に残る二度目の親子孫三代襲名を寿ぐ、おめでたい一幕をご覧いただきます。

三、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
  七段目
遊興の中に交錯する仇討ちの本心
塩冶判官が殿中で刃傷に及び切腹してから半年。京都祇園で遊興三昧の大星由良之助のもとに仇討ちに加わりたいと寺岡平右衛門が訪れますが、相手にされません。そこへ、由良之助の息子の力弥が父に密書を届けにきたところ、平右衛門の妹の遊女お軽の知るところとなります。仇討ちを気付かれた由良之助のために、平右衛門はある決意をし…。
37年前、高麗屋三代襲名の際には、初代白鸚が由良之助、七代目染五郎が力弥を演じました。その舞台から時を経て、襲名披露にて新白鸚の由良之助、新染五郎の力弥という配役でご覧いただきます。

【 詳細情報 : 歌舞伎座 】 初出:01月08日
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<歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 2018年1月23日

「二月大歌舞伎」高麗屋襲名披露の祝幕デザインを発表

kabukiza_iwaimaku_0123a3歌舞伎座「二月大歌舞伎」祝幕の完成イメージを前にした十代目松本幸四郎
ⓒ YAYOI KUSAMA ⓒ 松竹

2018年2月1日(木)、歌舞伎座百三十年「二月大歌舞伎」の二代目 松本白鸚、 十代目 松本幸四郎 、八代目 市川染五郎の襲名披露にお目見得する祝幕のデザインが発表されました。

「2月も引き続き、歌舞伎座で襲名披露興行をさせていただきます。それにあたり、日頃よりご贔屓いただいております中野道代様より、祝幕のご提供をいただくお話を頂戴しました。襲名する人の思いをかなえることが何よりのお祝いとの言葉を受け、私が(デザインを)お願いさせていただいたのが、草間彌生先生です」。
以前から作品が大好きだったという幸四郎の思いが、2月の襲名披露の祝幕となります。

世界の草間彌生が襲名披露の力になる 

kabukiza_0123iwaimaku_d2017年6月、草間彌生氏の美術館で、今回の祝幕となった3点のうちの一つの原画を前に
ⓒ YAYOI KUSAMA

無限に続くような水玉や網目をモチーフとした作品で、世界に知られる前衛芸術家の草間氏と、幸四郎が雑誌の取材で話をしたのは、20年ほど前のことでした。
初対面で幸四郎は、「永遠を信じますか」と、問いかけたと言います。「肉体が滅びる寿命は感じている、とおっしゃった時点で先生にはまりました。自分の思っている作品を、いかに限りある自分の肉体からつくっていくことができるか。それは戦いだと。そうして、つくられた作品が永遠になると」。草間氏の答えは、今回、20年近く経っても変わっていませんでした。
「世界を、時代をつくり、つくり続けていく方の、まだ新しいことをやっていこうというパワーが、2月の舞台へのエネルギー、力になる」。幸四郎は草間氏とその作品への思いをあふれさせました。

今回の祝幕に使用されたのは、2017年に制作された3点で、幸四郎がアトリエで見た時点では未発表でした。「今までになかった新しい作品だと感じました。高麗屋の襲名のおもてなしとして、お客様を最初にお出迎えする作品として、素晴らしいのではないかと」。
草間氏が歌舞伎座の間口に合わせたら、たとえばこういう形と見せたものが、そのまま今回のデザインになりました。「地色が黒色の祝幕はこれまでにないと思います。完成された形だと思いました」。ほかの作品も見た結果、「もうこれ以上はない」と、最終的にこの3点に戻りました。

選ばれたのは、2009年から草間氏が制作している「わが永遠の魂」シリーズのうちの3点で、祝幕は高さ7.1メートル、幅は30.3メートル。この大きさに草間作品がプリントされるのは世界初です。「実際に舞台に掛かったとき、どれだけ驚くか、今からわくわくしています」と、本当にうれしそうな笑顔を見せました。

1月とはまた顔ぶれの異なる大一座での2月の襲名披露。
「ありがたいことです。自分としても『一條大蔵譚』の大蔵卿と『熊谷陣屋』の熊谷、二つを一度に演ずるのは無謀だとわかっていますが、一生に一度のこれ以上はない興行なので、大変な思いをし、それに向かっていきたい」と、最後に幸四郎は意気込みを語りました。

【転載元記事:<歌舞伎座公式総合サイト 歌舞伎美人-かぶきびと> 2018年1月23日

【公演】歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」襲名披露|口上のすべてを動画で紹介

歌舞伎座一月

歌舞伎座百三十年「 初春大歌舞伎」
二代目 松本白 鸚
十代目 松本幸四郎 襲名披露 
八代目 市川染五郎 
平成30年1月2日[火]初日-26日[金]千穐楽
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2018年1月2日[火]、37年ぶりに行われる高麗屋三代襲名がいよいよ歌舞伎座で幕を開けました。
新年を迎えるとともに、歌舞伎座百三十年の記念すべき年となり、その歌舞伎座で「二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 八代目市川染五郎 襲名披露」がおこなわれます。
襲名披露狂言となる『菅原伝授手習鑑 車引・寺子屋』、そして『勧進帳』が三種類の特別ポスターとして、昨年年末25日[月]ー2018年1月7日[日]、東京メトロの主要駅(銀座、日本橋、表参道、渋谷、新宿、六本木ほか)に、歌舞伎座「 初春大歌舞伎」の襲名披露狂言の特別ポスターとして掲出されます。

車引十代目幸四郎として歌舞伎座に最初の一歩を刻むのは『車引』の松王丸、様式美あふれるひと幕に登場します。
寺子屋続く『寺子屋』には、幸四郎として幾度となく演じてきた松王丸を、二代目白鸚として初めて勤めます。心理劇として歌舞伎芝居の面白さ、奥深さを伝えて余りある濃厚な舞台が期待されます。

勧進帳夜の部の『勧進帳』は、十代目幸四郎の弁慶に、八代目染五郎の義経。高麗屋ゆかりの弁慶は、新幸四郎にとっては幼い頃から憧れの役。弁慶に守られる義経は、父の名を受け継ぐ新染五郎。大きな役への挑戦で、襲名を披露します。
まぶしいほどの金、銀をバックに、高麗屋三代が浮かび上がる特別ポスター。迫力ある実物のポスターをぜひ、劇場で、東京メトロの駅でご覧ください。

【 詳細情報 : 歌舞伎座 】  [継続情報を予定しており〼]

{ 新宿餘談 }

2018年新春、高麗屋三代同時襲名披露が木挽町歌舞伎座で賑〻しく幕をあけた。
高麗屋三代同時襲名披露は三十七年ぶりのことになるそうである。三十七年前には、初日ではなかったが、やつがれもこの記念すべき興業を拝見する機会をもった。
そして正月から続いた今回の襲名披露は、11月、京都四條南座『南座発祥四百年 南座新開場記念 當る亥歳吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎』で、二代目 松本白 鸚、十代目 松本幸四郎、八代目 市川染五郎 襲名披露口上をもってひと段落をみる。

遅ればせながら、YouTube に『歌舞伎座百三十年「壽 初春大歌舞伎」』の口上がアップロードされたので紹介したい。行司(司会・進行)は四代目坂田藤十郎:山城屋である。

こまったことに、坂田藤十郎はいまもってやつがれのなかでは扇雀さんであり、女優:中村玉緒の兄、女優・政治家:扇千景の亭主のままであるが、さすがに重要無形文化財保持者(人間国宝)、座っているだけで威風があるし、セリフの間、挙措の端端まで見事に洗練されてゆるがない。すこし長いが、ご鑑賞たまわりたい。

YouTube 歌舞伎ファン向け 【歌舞伎】高麗屋三代襲名披露口上~松本幸四郎改め松本白鵬、市川染五郎改め松本幸四郎、松本金太郎改め市川染五郎 29:30 音が出ます