第34回 あきる野映画祭 34th Theme〔 kaikan ! 〕
1. あきる野映画祭 映像市 ’18
2018年7月21日[土] @まほろばホール(無料)
2. あきる野映画祭[メインスクリーン]
7月27日[金]-29日[日] @五日市会館(有料)
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今年で34回目となる、あきる野映画祭は「kaikan!」をテーマに、映画祭発祥の地である「五日市会館」をメイン会場として開催します。大スクリーンと臨場感溢れる音響、温かみある手作りの会場で、ほかにはない映画体験を楽しんでみませんか。
あきる野映画祭公式ホームページはこちらをご覧ください!(別ウインドウで開く)
映像市【無料上映】
期 日 平成30年7月21日[土]午後0時30分から午後5時
場 所 まほろばホール(五日市地域交流センター3階)
内 容 西多摩地区にゆかりのある方が関わった作品と西多摩地区の映像が含まれた作品を
上映します。
映画祭メインスクリーン【有料上映】
期 日 平成30年7月27日[金]-29日[日曜日]
場 所 五日市会館
内 容 澤登翠さん(活動弁士)による活弁付無声映画の上映や
ゲストによるトークなど、上映作品に関連したイベントが予定されています。
【詳細: あきる野市 あきる野映画祭公式ホームページ 】
{ 新 宿 餘 談 }
〔 あきる野映画祭公式ホームページ ゟ 〕
あきる野映画祭のポスター・チラシのデザインは、市内のデザイナー高橋敏彦さんによるものです。下記のような思いを込めて作成されました。
秋川渓谷の自然環境の中で映画を守りつづけるそんな夢のある街がこのあきる野。
今も若者がこの芸術・文化を守り続けるために活動する恵まれたこの大地とここに集う人々。
☆ ☆ ☆
【 花筏 朗文堂-好日録015 五日市ランドスケープ 2011年11月23日 ゟ一部抜粋 】
ことしも「あきる野映画祭」のときがきた。34回目にもなるというそのポスターをみて
高橋敏彦翁と喫茶むべ、映画『五日市物語』(主演:遠藤久美子、プロデュース:高橋敏彦)
をおもいだした。ここに「花筏」からの記録を再紹介したい。
《茶房 むべと、高橋敏彦氏》
東京都あきる野市、とりわけ五日町一帯では、ある種のおだやかなデザインの統一がみられ、それがふしぎな「景観」をかもしだしている。
たとえば、秋川谷口にある料理屋「黒茶屋」、併設されている「茶房糸屋」の看板や各種の印刷物、あきる野市と第三セクターが開発した「瀬音の湯」のカログラムなど数えきれない。
そこにもちいられている、てらいのない飄逸な書と、ほのぼのとした絵とが、CI とも町おこしともバナキュラともいわず、たくまずしてこのあたりの「景観」を形成していることに驚かされる。
これらの書藝や絵画を精力的に製作しているのは高橋敏彦氏という。1942年(昭和17)うまれ、御年69歳(本稿初出から7年余。いまは76歳ほどか)。ごま塩まじりの白髪で、美鬚の技藝家である。
高橋氏はかつて都心部、渋谷区青山にデザイン事務所を構えたこともあったが、30年ほど前から、檜原村との境にちかい、五日市の高台の地に住まい、地元密着のデザインをねばり強く展開してきた。さらに自宅離れを増改築して、自作の「ミニ・ギャラリー」と、「茶房 むべ」を開設した。
「むべ」とはこのあたりでは「アケビ、木通、通艸」のことである。むべは蔓状をなして山地に自生する。春たけなわのころ、あわい紅紫のちいさな花をつける。晩秋のころ、果実が紫に熟して縦に割れる。果肉は厚く、半透明の白色で、たくさんの黒色の種子を含んでおり、とろりとした甘味があり食用になる。蔓は強靱で「アケビ蔓細工」として籠やザルなどの各種細工にもちいられる。
やつがれ、五日市に出かける楽しみのひとつが、「茶房 むべ」の香味のつよい珈琲を味わい、高橋翁とのくさぐさのかたらいのひとときである。こんかいは、庭先に「むべ アケビ」がブラリとさがっていた。それがなんともいえずよかった。
店内は禁煙なので、いつも(たとえ少少寒くとも)庭先の四阿アズマヤに腰をおろし、秋川渓谷の清澄な川面をわたる薫風や、山颪ヤマオロシの木の香を愉しむ。そして鳥や蟲の聲、かそけき渓谷の瀬音に耳をかたむけながら、一杯の珈琲を味わい、紫煙をくゆらすのを無上のよろこびとする。
2011年11月19日[土]、折からの雨だったが、フトおもいたって五日市にでかけた。雨はきらいではない。むしろ人混みがすくなく、景観が落ちつき、しっとりしていてよいとおもう。
町のあちこちに、映画『五日市物語』のポスターが貼られていた。タイトルの書はあきらかに高橋敏彦氏の手になるもの。サブタイトルに、
「五日市、それは時が止まったような、東京のふしぎなまち」
とあった。
そのフライヤーを四阿アズマヤでよくみたら、「プロデューサー:高橋敏彦」とあった。もちろん「茶房 むべ」のあるじにして、高橋敏彦氏のことである。
映画「五日市物語」製作概要
1 映画製作に至った経緯
五日市は、かつて江戸の暮らしを支えるエネルギーや材木の供給基地として発展しながら、文化人をはじめ商人や知識人など多くの人を惹きつける魅力があり、豊かな文化圏を形成していました。
幕末から明治初期には、五日市憲法草案を起草した千葉卓三郎や、看護師として国内外で活躍し、世界初のナイチンゲール記章を受けた萩原タケを輩出しました。また、五日市には、歴史的価値のある寺社も多く、森林や里山に抱かれた四季折々の美しい装いは私たちの宝です。
このように、豊な歴史や自然に恵まれた私たちのまち五日市は、まさに「東京のふるさと」といえます。
ふるさとの先人が刻んできた歩みを絶えることなく未来へと受け継ぐことが今を生きる私たちの使命であり、そして古き良き時代の風情が残るまちの素晴らしさを発信すると共に、自然愛や郷土愛を育んでもらうため「市制15周年記念事業」として、東京のふるさと「五日市物語」を映画製作することにしました。
2 映画のあらすじ
渋谷の情報収集会社に勤める主人公友里(遠藤久美子)は、「五日市は今・・・平成の大合併のさきがけの街から」というテレビ番組の情報収集のため、あきる野市にやって来た。取材を進めていくにしたがって、五日市の歴史、自然、そこに住む人のパワーに惹かれていく友里であったが、番組が延期になり取材は中止となってしまう。
しかし、五日市に強い魅力を感じていた友里は、退職してまで夢だったルポライターとして五日市の素晴らしさを多くの人に伝えようと、泊り込みで取材活動を始めた。その中でさまざまな人との出会い、興味深い歴史などに引き込まれていき、やがて友里は、五日市が自分にとっての“ふるさと”ではと思うようになっていく・・・。
[あきる野市 映画『五日市物語』関連事業]ゟ
高橋氏は字も書くし(書藝をまったく誇らないが良い字だ!)、ほっこりした絵も描く。そして陶芸もこなすらしい。
つまりひと世代前の、図案屋さんとよんでいたような、本物のデザイナーであり、なんでもかんでも造形家であり、技藝家でもある。すなわち誇り高きアルチザンである。
そして、その技倆と、知性が卓越していることが、このひとを特徴づけ、地元・地域の信頼をあつめている。今回は映画『五日市物語』のプロデューサーをつとめていた。
〔補記:現在はあきる野市役所ほかで DVD 発売中。 YouTube予告編 2:01〕
主演女優は遠藤久美子であるが、フライヤーにもちいられた写真では、マグカップを両の手で抱えていた。この写真におもわず視線が釘づけ! これは高橋氏の製作に違いないとおもった。
やつがれ、10年ほど愛用していたお気に入りのマグカップ──信濃追分・堀達雄記念館入り口のカフェ車屋で買ったもので、立原道造モデルとして愛着があった──をわってしまって、さびしいおもいをしていた。
遠藤久美子はいかにもいとおしいという手つきで、木肌色のマグカップを両のてのひらに抱えていた。大きさといい、色味といい、質感といい、これは好みだ! もちろん遠藤久美子ではなく、マグカップ。
リンクを貼っておいたので『五日市物語』の公式サイトをぜひみていただきたい。
おもわず奪いとりたくなる逸品ではないか。
ウ~ン、映画鑑賞の前に、まずは高橋氏にこのマグカップをねだらなくてはならないようだ。