今回、北海道根室市落石岬の現地に石膏キューブを積み上げて朽ちさせるのではなく、ギャラリーというホワイトキューブにそれらの銅版画を展開するにあたって、多色刷りによるイリュージョンに依拠し、辺境の霧の中で銅が豊かに朽ちていくありさまを版画工房で想像、感応しながら制作した。来夏、落石計画は再開予定であり、これら紙に刷った銅版画作品も現地に展示する予定。 モチーフとなるイメージは “ Community on the move ” というタイトルで、各地で継続してきた現地調達の木片による積み木のワークショップで参加者たちが残していった家々のかたち、記憶を収集したものであり、その土地、土地でのエピソードを織り交ぜて様々な銅版画をシリーズ制作している。
形の言葉 Language of shape 私たち誰もが抱きしめ、共有する繊細で美しい自然界への感謝の印として「形の言葉」を制作しました。 本は2つの冊子と折りたたまれた1枚のリトグラフから成り、1つのケースに収まっています。 黒い和紙に印刷された1つ目の本には、中谷宇吉郎と寺田寅彦の言葉を引用しながら作った詩が印刷されています。中谷は「雪の結晶は、天から送られた手紙であるということができる。」という言葉を残し、雪の結晶の形が上空の気象状況によっていかに変化するかを丹念に研究した科学者です。 そのページの裏には、結晶させた硫酸ナトリウムの形を文字のように配置した像が銀色のインクで印刷されています。これは中谷の「天からの手紙」を彷彿させると同時に、世界には同じように読まれるべき言葉、しかしまだ読まれていない言葉が無数に存在することを暗示します。 自然がもし、言葉を発するなら、私たちは今何を受け取るのでしょうか。生物/無生物の境界を超えた地球上の多様な存在について、その存在たちの放つ言葉について想像を巡らす機会が増えています。
形の言葉 Language of shape 足立涼子、2020年9月初版 英語翻訳:秋元しのぶ リトグラフ印刷:カワラボ!【河原正弘+平川幸栄+今泉奏】 用紙:伊勢 色渋紙、バフン紙、備中鳥の子 雁皮紙 印刷:リトグラフ、レジン凸版、インクジェット 部数:10部.『N.U.は雪の言葉を読んだ』1冊子のみ 5部
チェコセンター アドルフ・ロース Pioneer of Modern Living 今年は、ブルノ生まれの建築家 アドルフ・ロース の生誕150周年です。モダニズム建築の先駆者のひとりとして活躍し、「装飾は罪悪である」という言葉を生んだロースの建築作品は、今なお多くの建築家に影響を与えています。
チェコセンターでは、生誕150周年を祝い、Facebook を中心として情報発信をしていくほか、オンラインでのイベントを行っていく予定です。